今回紹介するのは、長崎県長崎市にある国指定史跡『出島』です。
江戸幕府の政策により日本は長らくの間、海外との交流を断っていました。出島はそんな鎖国時代にオープンを許された、たった一つの異文化交流の地。日本史の中でも印象的に思う方は多いのではないでしょうか?
そんな出島は「新地中華街」「長崎県立美術館」のすぐそばにあり、路面電車駅も目の前にあることからかなり立ち寄りやすいスポットです。
ちょっぴり高級なランチやコーヒーを味わうこともできる出島。気になる人はぜひ、当記事をチェックしてみてください♪
出島のランチはトルコライスがおすすめ
まずは「出島内外倶楽部」でいただいたランチの感想から♪
注文したのは、長崎の定番B級グルメのトルコライス(¥1400)です。
オランダの旗を立てた、可愛らしくも上品なトルコライス!
ワンプレートのメンバー&その魅力をご紹介します。
カレーピラフ |
ほんのり鼻を抜ける、辛すぎないスパイス |
ナポリタン |
甘いケチャップが、ピラフと対照的でGOOD |
とんかつ |
ジューシーなポークと、濃厚なデミグラスソース |
サラダ |
重量感あるメニューの中の爽やかなカンフル剤 |
どれもが一流シェフの味! B級グルメの域を超えた高級感が漂っていました。
ちなみに、写真奥のカップのポタージュも絶品でした。
そして、写真は失念してしまったのですが食後に「出島珈琲」(¥500、アラビカ種・マンデリン豆仕様)も頼んでいます。
17世紀初頭に、インドネシアからオランダ人を介して出島に伝わってきたコーヒーで、元々はオランダ商館員の嗜好品だったそうですが、日本人の役人や遊女からもかなり人気だったとのこと。
深い香りはもちろんのこと、その歴史も共に味わえる、出島ならではのコーヒーです。歴史好きのコーヒー党はお見逃しなく!
さて、ここからは「出島内外倶楽部」について簡単にご紹介しますね。
「長崎内外倶楽部」は、日本人と長崎に在留している外国人が利用した洋館です。当時はビリヤードや会食を行う社交場として利用され、現在は1Fがレストラン、2Fが展示室となっています。
1Fレストランの中はこんな感じです。異国情緒のある内装と、紳士なギャルソンさんのおかげで、素敵な時間を過ごすことができました。
出島の観光でおすすめスポットご案内♪
ここからは、出島観光のおすすめスポットをお伝えしていきます。
まずは先ほど紹介した「出島内外倶楽部」の2Fから!
この建物は平成8年に修繕工事が執り行われ、明治期の姿を取り戻しました。ドールハウスのように可愛らしいインテリアが印象的です。
暖炉の上に飾ってあるものは、室内で撮った集合写真。活気ある倶楽部だったことがうかがえます。
倶楽部会員の名札入れもありました。「おっ」と思うような人物や、財政界の大物の名前もちらほら。
ここで親睦を深め、今後の展望を話し合った人々。しかし、太平洋戦争を迎える前に、残念ながら倶楽部は解散となりました。
ちなみに倶楽部の発起人の一人に、グラバー邸の主人・倉場富三郎(トーマス・グラバーの息子)の名があります。
翌日「グラバー園」に訪れて知ったのですが、倉場富三郎はもともと大人しく内向的な性格だったそうです。そんな彼が倶楽部の結成に取り組んだのは、長崎の繁栄を強く願っていたからなのでしょうね。
出島の敷地外からでもよく目立つ、「旧出島神学校」。現存するキリスト教(プロテスタント)の学校としては、日本で最も古い建物です。「出島内外倶楽部」と同じく、明治期に建てられました。
「旧石倉」は、現在「考古館」として出島からの出土品などを展示しています。
左手の建物は「組頭部屋」(復元)です。江戸時代、日本国内で生産した銅はここ軽量・梱包し輸出されました。
右手の木造建築は「乙名詰所」で、乙名(出島の管理人)が出島に出入りする人々を見張るための部屋でした。
乙名詰所の中に入ることはできませんが、
襖の模様(花唐草紋様更紗)がとても可愛らしいので、ぜひ中を覗いてみてください。
「組頭部屋」の奥には、銅蔵があります。輸出の根幹を成した銅・・・その需要な役割を解説した映像も流れていました。
お次は、見応え抜群な「カピタン部屋」。オランダ商館長の住んだ部屋や事務所などがあります。
事務所だったと思われる15畳の部屋
商談に利用されたと推定されている17.5畳の部屋
宴席の様子が再現された大広間。ちなみにこの宴席はクリスマスを祝う「阿蘭陀冬至」の様子だそうで、テーブルには蝋燭、洋酒、チキン?などが並んでいます。
畳&平面的な和室に、瀟洒な洋のインテリア。江戸時代の出島ならではの風景です。
ちなみにこの建物の1Fには、オランダから伝わったバドミントンのラケットも展示されていて、体験することもできます。ただこのラケット、なかなかの重さです。一ラリーで筋肉痛になってしまうかも(笑)
出島のどの建物だったか忘れてしまったのですが、日本の郷土玩具「泥面子」も展示されていました。よくある紙製のメンコの前身で、やはり投げて遊ぶようです。
オランダ商人と一緒に、これを使ってちょっとした賭け事なんかしていたかもしれませんね^^
かんざしも発見。出島には遊女が出入りしていたということで、もしかしたら遊女も泥面子で遊んだりしたのかな?
この他にも
・水門&門前にある天秤(砂糖の計量に使用)
・拝礼筆者蘭人部屋(蘭学館:蘭学の資料展示)
など、出島には語り尽くせないほどのおすすめスポットが並んでいます。
特に蘭学館は、夢中になりすぎて一切写真を撮らなかったほど(笑)オランダの医学、自然科学、技術は今見てもワクワクが止まりません♪当時の日本人はどれほど驚いたことか・・・。
ここには平賀源内が復元した「エレキテル」(摩擦器電気)もあり、ハンドルを回して放電することも出来ます!ぜひバチっとさせてみてください^^
出島の観光で見どころご紹介♪
出島観光の見どころは、建物内だけではありません♪ここから紹介するのは、屋外で押さえておきたいスポットです。
こちらは「ミニ出島」。15分の1のスケールの出島です。江戸時代後期に活躍した出島の出入り絵師・川原慶賀が描いた「長崎出島之図」を参考に、往時の出島を再現しています。
昭和51年、なんと出島の復元が始まる前からここに設置されているミニ出島。長崎県立長崎工業高等学校・建築課の3年生によってメンテナンス・修繕されてきたそうです。
ミニ出島のそばには、ユニークなモニュメントがあります。
こちらの真鍮鋳物は「フレンドシップメモリー」(製作者:Escultor Martins Correia)であり、日本とポルトガルとの交流に献身した6名がモチーフとなっています。
では、先頭にいるこの人物に注目してみましょう!
「F .XAVIER」とありますが、もしかして・・・?
やっぱり!フランシスコ・シャヴィエル(ザビエル)でした!顔の裏側に回ると、彼の功績が文字で彫刻されています。他の5人も同じ仕様で、見応えがあり勉強になるモニュメント!
ちなみにこれはポルトガル政府が大阪万博(昭和45)に寄せ、その後長崎に寄贈されたものだそうです。
石造りの日時計も発見しました。影の角度によって、6時〜18時までの時間を示します(この時はちょうど雲がかかってしまったので、影がほとんど出ませんでした。残念!)
逆光になってしまいましたが、こちらは「時の鐘」。カピタン部屋の隣に設置されています。
これは18世紀のオランダで使用されていたものですが、出島にも実際に同型の鐘が設置されていたそうです。積荷を下ろす時に縄を引き、鐘を鳴らしていたのだとか^^
「出島内外倶楽部」と「旧出島神学校」の間に、高く聳える樹木があります。「デジマノキ」の呼ばれるこの木は、オランダ人によって幕末にジャカルタから移植されたもので、日本とオランダを結ぶ記念の樹なのだとか。
ここで紹介したものはほんの一部であり、出島内にはこの他にも見逃せない野外展示品がズラリと並んでいます。ご覧になる際は歴史解説も要チェック!
まとめ
いかがでしたでしょうか?出島に訪れると、教科書で学んだ、あの時代にタイムスリップしたような気分になります。
徳川政権の頃って、鎖国こそしているものの大きな戦もなく安定していて、江戸でもたくさんの文化が花咲いた時代でもあるんですよね。
そんな中で出島は唯一海外に開かれた窓口。発展した文化も江戸のものとは一味違います。当時の人々が感じたであろう、異国文化に対するワクワク感を味わうことができました。
歩き疲れたらぜひ、トルコライスと出島珈琲で一服してください^^ 今回紹介できませんでしたが、お土産やツアーガイドも充実していますよ♪