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今回ご紹介するのは、群馬県桐生市にある『大川美術館』です。

 

桐生出身の実業家・美術品蒐集家である大川栄二氏のコレクションを収蔵した美術館で、国内外の多種多様な作品を味わうことができます。

 

当記事では

 ・コレクション展

 ・企画展「エコール・ド・パリの画家たちと松本竣介」

 ・カフェ

の様子をピックアップしてお届けしていきますね。

 

尚、『大川美術館』は激坂の上にあり・・・

案内板に沿って裏の近道を通っていくといくらか楽なのですが、私は血迷って正面突破してしまいました(^^;)

 

徒歩の方はぜひ、案内ルートの近道を進んでくださいませ!

(この階段めちゃくちゃ大変でした!お近くに住んでらっしゃる方、尊敬します・・・。)

外観はこんな感じで、打ちっぱなしのコンクリート。シンプルなのでちょっと見つけにくいかもしれません。

 

何はともあれ、苦労して坂を登った甲斐があった!と思える、素晴らしい美術館でした^^

前置きが長くなりましたが、興味のある方はどうぞご覧ください。

 

大川美術館のコレクション展を見学

 

まずは『大川美術館』のコレクション展(2025年4月26日〜6月22日の展示作品)についてご紹介しますね!

(ここはとにかく展示数が多いので、印象に残ったコーナー&作品を特集します。)

 

  • エコール・ド・パリに学んだ日本画家たち】

「エコール・ド・パリ」とは1920年代頃にパリに集結した世界の芸術家たちのこと。日本では藤田嗣治がその代表と言われていますが、このコーナーには藤田氏以外の日本人画家の作品が展示されていました。

 

「エコール・ド・パリ」は作風に特徴があるわけではないのですが、ここに展示されている油彩画はフランス印象派を思わせ、往時の日本芸術には無かったであろう色彩表現や立体感が多々見られます。

 

板倉鼎の《少女》や清水登之の《パリの床屋》・・・など、モチーフもパリにある物や人だったり。《静物》と名のついた作品も数点見られました。

 

【昭和戦前期の画家たち】

年代的には戦前期にあたるようですが、制作年は戦後という作品もちらほら。しかしどの作品にも共通して感じたのが、前時代の「エコール・ド・パリ」コーナーとの色彩の違いです。

 

圧倒的に、暗い。黒を多用し、全体的にくすみが強くなっています。書き殴ったような、荒々しいタッチのものも多いですね。やはり「戦争」がそういう作品を作らせたのでしょうか・・・。

 

麻生三郎の《草と骨》はカンヴァスを赤黒く塗りたくったような不気味な作品。しかし「これは戦争の地獄絵図なのだろう」と直感しました。これほど何が言いたいかはっきりと受け取れる抽象画は初めて見たかもしれません。

 

「エコール・ド・パリ」コーナーと同じく静物画もあったのですが、色使いがまるで違います。なんというか、芸術って世界の姿をありありと映し出すんだなぁ・・・と強く感じました。

 

【吹き抜けの作品】

展示室は上階から下階に降りて進んでいくように構成されているのですが、その道中にある吹き抜けや階段、廊下に置いてある立体作品も見逃せません!

 

特に吹き抜けにあるステンドグラス《火焔太鼓》(磯部行久作)には目を奪われました。メラメラと燃えている・・・!情熱が迸っている・・・!教会にある「聖母マリア像」のようなイメージを持っていると、度肝を抜かれると思います。

 

大川美術館の企画展も見てきました♪

 

お次は『大川美術館』で開催されていた(コレクション展と同時期)企画展「エコール・ド・パリの画家たちと松本竣介」をレポします。

 

大川栄二は松本竣介の作品を収集していたらしく、美術館のリニューアルを記念してその作品や松本竣介の集めていたスクラップブックなども紹介する当企画展が開催されました。

 

ちなみにポスターのメインビジュアルにもなっているこの絵画ですが、これは松本竣介のものではなく、アメデオ・モディリアーニ作の《少女の肖像(ジャンヌ・ユゲット)》という作品です。

 

アメデオ・モディリアーニは「エコール・ド・パリ」を代表する画家であり、その作品は松本竣介を強く惹きつけたのだとか。

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チラシ裏の上段《長いコート》と下段中央《婦人像》は、《少女の肖像》の隣に展示されていました。

並べて眺めると、確かに系譜を辿っていることが窺えます。

 

松本竣介が影響を受けた画家は他にも数多あり、《ミセレーレ》で知られるジョルジュ・ルオーや・・・

 

言わずと知れたパブロ・ピカソの作品も!

 

これは「海老と水差し」という作品です。この展覧会で初めて見た私は衝撃を受け、ミュージアムショップで絵葉書を購入しました。(画像は絵葉書です)

 

これは海老・・・?海老なのか・・・!?なんかキャスターつきの台(?)の上に乗ってるし、左端のものはドアノブか?床は一体どうなっているんだ?水差しで水をかけてあげたら海老は喜ぶのか?

 

・・・と、考え出したら止まらなくなってしまい^^;

展覧会のメインは松本竣介ですが、完全に《海老と水差し》にハートを持って行かれてしまいました。やはりピカソはすごい☆

 

でも決して、松本竣介が霞んでしまった訳ではありません!

松本作品の中で一番気に入った絵葉書を購入。タイトルは《婦人像》です。スケッチのようなラフな絵ですが、こなれた雰囲気でとてもおしゃれに感じました。

 

画材は紙と墨。“墨で描いた”というのが私の気に入りポイントです。墨=水墨画のイメージが強かったので、このようなモードな仕上がりになることにまず驚きました。今見ても古さを感じません!

 

それと同時に、多くの海外芸術に触れても日本古来の文化を忘れない松本竣介の感性にも惚れました。「エコール・ド・パリ」は海外芸術を吸収する場であったと同時に、日本で育んできた芸術の素晴らしさを再確認する機会でもあったのかな・・・なんて思ったりして^^

大川美術館でカフェも楽しみました♪

『大川美術館』の展示室を一通り見終えると、カフェに出てきます。

 

テラスもある落ち着いた静かなカフェで、さまざまな作家の画集などを集めた資料室も併設されているので、それを眺めながら休憩するのもオススメです。

 

今回は雨が降っていたので、室内でティータイムを過ごしました。

本日のケーキと飲み物のセットを注文♪

2層のチーズケーキはふわっふわで甘さ控え目、芳醇なコーヒーとの相性抜群です。

 

広い展示室を見尽くして歩き疲れた体に、程よい糖分とポリフェノールを摂取できました^^

 

今回はセットのコーヒーをいただきましたが、お品書きには「竣介ブレンドコーヒー」なるものが・・・。コーヒー党の私はこちらも気になりました。

 

このカフェには他にも魅力的なアイテムがあります。

オーストリア製のアンティークオルゴール。100円を投入するとバレリーナちゃんたちがくるくると回り、自動演奏が始まります♪

 

小さいオルゴールなのですが、音はしっかり。柔らかく透明感のある音色で、とても100年以上前のものとは思えませんでした。

こちらの大型ディスク・オルゴールもオーストリア製です。故障のため残念ながら音色を聴くことは叶いませんでした。

 

“THEディスク・オルゴール”!といった感じのオーソドックスな印象でしたが、よく見ると細かな意匠が散りばめられていて・・・

 

左右の飾り枠?なんかは洋館の階段の手すりみたいで、このオルゴールが一つの建築物みたいに見えてきました^^

 

まとめ

 

『大川美術館』のレビューは以上になります。

 

「エコール・ド・パリ」や戦争の影響を受けた作品の数々を見て、芸術って生きているんだなぁ・・・と実感。そして「絵を知るために、もっと歴史を知りたい!」そんな風に思える展覧会でした。

 

たくさん見て、歩いて、頭をフル回転させた後のケーキとコーヒーもGOOD♪

 

歩いていくのも運転するのも大変な激坂ですが、頑張って足を運んだ甲斐があったと思える美術館です。

 

ぜひご参考までに♪

ご覧いただきありがとうございました。

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