【彼岸だし、「半殺し」作ろうか】と聞くと、
ご先祖様を供養するはずの日に「半殺し?」と
混乱してしまいます。
ご安心ください。
「半殺し」とは、「おはぎ(ぼたもち)」のことなのです。
「半殺し」なんて、分かりづらい言葉で呼ばずに、
「おはぎ」と呼べばいいのにと思いますが、
これは、昔から呼ばれてきた『方言』のような
ものだと思います。
今回は、彼岸にちなんで、「おはぎ」について
ご紹介させていただきます。
おはぎの半殺しって、なんのこと?
中のもち米のつぶし方の事だった!
「半殺し」というのが、「おばき」のことであるということは、
既に説明させていただきましたが、
実は、「中のもち米の潰し具合」によって、
呼び名が変わります。
中のもち米を、半分程度潰して作るのが「おはぎ」、
全体的にしっかり潰して作るのが「おもち」となります。
地域によっては、
【粒あん】のことを、小豆を半分潰して作るから「半殺し」、
【こしあん】を「皆殺し」と呼ぶ所もあります。
小さな島国の日本ですが、地域ごとに呼び方や意味が
変わるなんて、かなり不思議です。
◎徳島の名産品「はんごろし」
ちなみに、この「半殺し」についてですが、
全国的に方言として聞かれる言葉なのですが、
徳島県では「名産品」となっています。
一般的なおはぎとは少し違い、中にあんこが入っていて、
外側にきなこがまぶしてあるものです。
主に、徳島県那賀郡那賀町の名産とされていて、
那賀町は徳島県の南部にある、県内で一番大きな町で、
そのうちの9割が森林であるとも言われるほど、
緑がたくさんで、のどかなところです。
そんな那賀町の相生地区には、似合わないように感じる、
どこか物々しい呼び名の「はんごろし」ですが、
もともと、JA女子部で活躍していたメンバーが集まり、
「ビーンズあい」が結成され、
おばあちゃん10人(平均70歳以上)、毎日4 人ずつ交代で、
10時の出荷に間に合うように、朝早くから作業されています。
以前は、「草もち」という名で売られていましたが、
「昔からの名前を使おう」ということで、
「はんごろし」に戻したそうです。
昔ながらを守り、「無理をしない」をモットーにされている為、
作られる数も限られ、昼過ぎになるといつも売り切れるほどの
人気だそうです。
なかなか手に入らない「人気」で、
こだわって作ってくださっている「はんごろし」です。
機会があれば、ぜひ食べてみてください。
これで半殺しにします!?
もち米をつぶすのに使う道具はこれだった!
餅を作る際には、「杵(きね)と臼(うす)」を使い、
月の中でうさぎがしているように餅つきをして作りますが、
『おはぎ』はすりこぎや麺棒などを使い、
叩きながら潰して作ります。
ちなみに、麺棒は均一で一定の太さの棒ですが、
すり鉢で使うすりこぎは、持ち手が少し細くなっています。
他にも、しゃもじを使う人や手で潰す人などもいますが、
やはり身近にあるもので作りやすいのは、
麺棒(すりこぎ)だと思います。
○まとめ
伝統だとか文化は、少し自分から遠いものだと思いがちですが、
意外と当たり前のように、生活の中で密接して存在している
ものかもしれません。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。